サソリの情報Web

英名：

Yellow fattail scorpion, Yellow fat-tailed scorpion, Tunisian fat-tailed scorpion

学名：

Androctonus australis (Linnaeus, 1758)

科名：

キョクトウサソリ科 (Buthidae)

分布：

アルジェリア、チャド、エジプト、ヨルダン、リビア、モーリタニア、ソマリア、スーダン、チュニジア、インド、イスラエル、パキスタン、サウジアラビア、イエメン (Fet et al., 2000; Seiter and Turiel, 2013)

体長：

80～100mm (相原・秋山, 2006)

イエローファットテールスコーピオンは、イスラエルゴールドスコーピオン (Scorpio maurus) とともに、サソリの中では記載された (学名が付けられた) のが最も古い種です (Fet et al., 2002)。また、非常に有名な種で、かつてはペットとして人気も高く、よく輸入されていたようです (現在では外来生物法により、キョクトウサソリ科のサソリ全種について、日本国内への輸入が原則禁止されています)。

Androctonusのサソリは、尾の部分 (終体) が非常に太いという特徴をもっており、このことから、一般に「fat-tailed scorpion (太い尾のサソリ)」と呼ばれています (Black fat-tailed scorpion: Androctonus bicolor, Arabian fat-tailed scorpion: Androctonus crassicaudaなど)。

砂丘や乾燥した地域に分布しており、地中に巣穴を掘ったり、石の下や割れ目などに隠れているそうですが、家の外壁の隙間など、人のいる場所でもしばしば発見され、人々の脅威となっています (Rubio, 2008)。

イエローファットテールスコーピオンは、非常に強い毒をもつ危険なサソリとして知られており、属名の「Androctonus」はギリシャ語で「man-killer (人殺し)」を意味するそうです。

毒の強さとしては、マウス (皮下注射) でLD50 (実験個体の半数が死ぬ濃度)＝0.335 mg/kg程度になるそうで、サソリの中でも最も毒が強い部類に入ります。

「最も有毒なサソリ (most venomous scorpion)」としてかつてギネス記録に認定されており、「アフリカ北部でのサソリ毒による被害の80%、そして死亡事故の90%が本種による」と解説されています (2024年時点では記録が更新され、記録保持者がLeiurus quinquestriatusになっています) (Guinness World Records 公式サイト)。

現在、外来生物法において、「人の生命・身体に被害を及ぼすおそれがある」という理由から、キョクトウサソリ科のサソリ全種が特定外来生物として指定・規制されています (環境省ウェブサイト)。この法規制の背景には、2003年10月、岡山市内のアパートでペットとして飼育されていたイエローファットテールの若虫が脱走した事件が発端としてあると考えられています (相原・秋山, 2006)。

この脱走事件の後、サソリ＝猛毒＝イエローファットテールスコーピオンという偏ったイメージがひとり歩きし、野外で発見されたサソリがイエローファットテールではないにも関わらず、誤って報道される例も出ています。

トピック：

外来生物法とサソリ