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ダイオウサソリ

~ワシントン条約で保護されているサソリ~

Kevin Walsh from Oxford, England, CC BY 2.0
(Kevin Walsh from Oxford, England, CC BY 2.0)

英名:

Emperor scorpion

学名:

Pandinus imperator (C.L. Koch, 1841)

科名:

コガネサソリ科 (Scorpionidae)

分布:

ベナン、ブルキナファソ、チャド、コンゴ民主共和国、コートジボワール、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、リベリア、マリ、ナイジェリア、シエラレオネ、トーゴ、(コンゴ、エリトリア、赤道ギニア、ガボン、ガンビア、ソマリア、スーダンなどにも分布している可能性あり) (Fet et al., 2000; CITES事務局)

体長:

180~200mm

ダイオウサソリの分布
ダイオウサソリの分布 (緑色は分布、黄色は分布の可能性あり)

世界一有名なサソリのうちの一種。体長の目安は約200mmですが、それ以上になる場合もあるようで、「ダイオウサソリ」という名の通り、世界最大のサソリの一種として知られています。

アフリカ西部の熱帯林などの湿潤な環境に生息しています。地中に30cmもの巣穴をつくるそうです。

本種の毒はそれほど強くなく、代わりに触肢が大きく、握力が非常に強いそうです。

妊娠期間は7ヶ月程度で、一度の妊娠で約30個体の若虫を出産します (Lourenço, 2002)。

非常に有名であることに加え、飼育が容易であるため、ペットにされやすいサソリです。このため、長年にわたって何十万匹もが捕獲され、世界中に輸出されたそうで、乱獲から種を保護するため、1995年にワシントン条約 (絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約; the Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora, CITES) の附属書IIに登録されました (CITES事務局; 経済産業省)。そのため、本種を生息している国から輸出するには許可が必要であり、また取引停止勧告が出されている国もあります (経済産業省)。しかし、現在でも年間数千~数万個体が輸出されています (もちろん、野生個体と販売目的で飼育された個体の両方を合わせた総数です) (CITES事務局)。

2019年12月現在、サソリ目のなかで、ワシントン条約の附属書に登録され規制対象となっているのは、P. imperator (ダイオウサソリ) のほか、P. dictator (ソウトウサソリ)、P. gambiensis (ガンビアサソリ)、P. camerounensisP. roeseliの5種です (経済産業省)。しかし、P. camerounensisP. roeseliについては、P. imperatorのシノニム (同物異名:もともと別種として記載されたが、後に同種であると判断された) とする研究結果もあり (Prendini, 2016))、今後附属書が変更される可能性もあります。

出典 ▼

  • Fet, V., WD. Sissom, G. Lowe, and ME. Braunwalder (2000) Catalog of the scorpions of the world (1758-1998), The New York Entomological Society, New York.
  • CITES事務局. Pandinus imperator., The Species+ Website. (https://speciesplus.net/#/taxon_concepts/5811/legal), (2019/12/08参照)
  • Lourenço, WR. (2002) Reproduction in scorpions, with special reference to parthenogenesis., European Arachnology 2000 (Proceedings of the 19th European Colloquium of Arachnology), 71-85.
  • CITES事務局. Species Photo Gallery: Emperor Scorpion., CITES Website. (https://cites.org/eng/gallery/species/invertibrate/emperor_scorpion.html), (2018/07/08参照)
  • 経済産業省. “ワシントン条約について(条約全文、付属書、締約国など)”. 経済産業省ホームページ. (https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/cites_about.html), (2019/12/08参照)
  • CITES事務局. CITES Trade Database., CITES Website. (https://trade.cites.org), (2018/07/13参照)
  • Prendini, L. (2016) Redefinition and systematic revision of the East African scorpion genus Pandinoides (Scorpiones, Scorpionidae) with critique of the taxonomy of Pandinus, sensu lato., Bulletin of the American Museum of Natural History, 407:1-66.
2019/12/08 更新
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